エンジニアのMIX教材が「危険」な3つの理由とは?
ピンとくる教材がない
「どこでMIXを学べばいいのか?」
という悩みは、多くの人が持っていると思う。先日も、
「ネットで探しても、本屋で見てもわかりやすいMIXの教材がない」
という相談を受けた。
これは、僕もものすごくわかる。だって、どれもややこしい説明ばかりだだからだ。
では、なぜこんなにも、わかりやすい教材がないのだろうか?
それは、
「MIXのプロが、MIXを教えている」
というのが大きな原因の1つだ。
え、と思うかも知れない。
これの何がいけないのだろうか?
プレイヤーから学んではいけない
僕は、プロのMIXエンジニアからMIXを学ぶのは、結構危険だと思っている。
なぜなら、
「プレイヤーからではなく、コーチから学ぶ」
というのが、どんな分野でも鉄則だからだ。
つまり、
「できるプロ」からではなく
「教えるプロ」から学ぶべきなのだ。
理由は、
「できるプロ」が教えるとどうしても
- わかりにくい
- 視野が狭い
- 感覚でやっている
の3つだ。
わかりにくい
「できるプロ」と「教えるプロ」の違いを一言で言うと、「わかりやすさ」だ。
例えば、大学教授の授業ってすごくつまらないけど、あれは仕方ない。だって、彼らは「教えるプロ」ではなく、「研究するプロ」だからだ。
つまり、「教える」ことに関しては素人なのだ。
逆に、「教えるプロ」、
例えば予備校の有名講師などは
「どう言えば、伝わりやすいか?」
「どうやれば、楽しいか?」
「どうすれば、ちゃんと身につくか?」
ということを、何年も研究してきた人たちだ。つまり、簡単に言うと話がわかりやすいのだ。
では、例えばピアノを習うとして、
- かつて世界一のピアニスト
- 名ピアニストを沢山生み出してる先生(本人はヘタ)
の、どちらを選ぶべきなのか??
答えは、明らかに
名ピアニストを沢山生み出してる先生
だ。
一流のコーチはわかりやすく、教わっていて楽しい。これが最も重要だ。なぜなら、「わかりやすくて楽しいもの」じゃないと、人は続かないからだ。
楽しくないことはやらない。
やらないものは、身につかない。
だからこそ、
「教えるのがうまい人」
「楽しいと思わせてくれる人」
に習うのが、結局は何よりも重要なのだ。
ちょっと考えれば当たり前のことなんだけど、僕たちは意外とそこまで気がつかない。
視野が狭い
一流のプレイヤーというのは、
「自分に通用するやり方」
しか知らないことが多い。
例えば、指の長いギタリストが
「指が長い人しかできない弾き方」
をしているとする。
しかし、その人は
世界的に活躍していたりする。
そりゃそうだ、プレイヤーは「自分さえ出来ればいい」のだから。なにも、わざわざ「指の短い人の弾き方」なんて研究する必要はない。
これが、プレイヤーから教わる時にアダとなる。「その人にしかできないやり方」を、教えられる可能性が高いからだ。
そうすると、
「教わったのにできない」
ということが起こる。そして、
「自分にはできない、才能がない」
と思い込んでしまう。
これでは、教わること自体が害だ。
その点、一流のコーチは違う。
彼らは、色々なタイプの人を教えてきたから、色々なケースを知っている。例えば、
「指の長い人の弾き方」や
「指の短い人の弾き方」などだ。
おかげで、僕たちは
「自分に合ったやり方」を
教わることができる。
だから、「自分にはできない」などと理不尽に自信をなくすこともないし、「自分に合った新しいやり方」を教えてもらえることさえある。
このように、教わる相手が「広い視野を持っている」ということは、非常に重要だ。
感覚でやっている
プレイヤーは、
感覚的にやっていることが多い。
例えば、野球選手が
「シュッと来てバシッと打つ」とか、
「点を線で捉える」とか
言っているやつだ。
そりゃあ、10年も20年も同じことをやってきたのだから、勘は研ぎ澄まされているだろう。
だけど、僕たちがいきなりその感覚で言われても、わかるわけがないのだ。
つまり、「その人にしかわからない感覚」で教える指導法は、明らかに使えない指導法だ。
そうではなく、僕たち素人は
「誰にでもわかる言葉」
で教えてもらう必要がある。
こんなのは、ちょっと考えれば
当たり前のことなんだけど、
それができる指導者は驚くほど少ない。
だからこそ、
「コーチ」から学ぶべきであり、
「プレイヤー」からは学ぶべきでないのだ。
結論
このように、
「できる」と「教える」は
全く別の能力なので、
「できる人から教わればいい」
という考えではダメだ。
それなのに、現状は
「プロが教える!秘伝のMIXテクニック」
みたいな
「プレイヤーもの」の教材しかない。
別に、教えている人が悪いわけではないのだけど、教えるプロではないから、どうしてもそうなってしまう。
その結果、
「どんなに頑張ってもMIXできない」
という状況が、本当に長い間続いている。
僕は、こうして「市販の教材には頼れない」ということを学んだ。
これを通して僕が言いたいのは、昔の僕のように「MIXができない…」と苦しんでいる人は、何もあなたのせいではないということだ。
単純に、わかりやすい教材がない。
そういう側面もあるということを、
知って欲しかったのだ。
僕は、基本的にインサート1つだけでMIXをしています。それも、DAW付属の「オマケみたいなチャンネルストリップ」だけです。
MIXにかかる時間は最短4時間くらい、
オーディオIFは使わないこともあるし、
最悪iPhoneのイヤホンだけで
MIXすることすらあります。
実際のMIX画面を見てもらえば、様子がわかると思います↓
(1分もありません)
「ほんまかいな」ですよね。
ほんまかいなでしょうが、まずは
こういう世界もあるということを
知っておいて欲しいのです。
(詳しい説明は、このページに書いています)
「いや、お前には才能があったんだろ?」
とも言われます。しかし、
僕は「これは誰でもできる」と確信しています。
(実際に、僕が教えた人もできるようになりました。さっきのページに、教えた人たちの音源も載せています)
むしろ、僕は才能があったわけでも
初めからうまくいったわけでもなく、
MIXに関しては
誰よりも苦しんで、誰よりも失敗した
自信があります。
作曲に憧れた15歳、
就職してしまった20代、
音楽で生きる決意をして
仕事を辞めた28歳。
そこからは、正直地獄でした。僕は、MIXができなかったせいで、その後8年間を棒に振りました。
自分の音が安っぽい。
でも、いくら勉強してもわからない。
なんとかしたくて、機材に合計600万円もつぎ込みました。しかし、それでもMIXはできるようにはなりませんでした。
仕事もなく、お金もなく、
毎日家にこもって作業をし、
不安でおかしくなりそうでした。
思い出すだけでもしんどいです。
でも、そんな僕でも、
今では驚異的な速度で
MIXができるようになりました。
そして、とうとう15歳の時の夢が
現実になりました。
好きな音楽が仕事になる。
毎日、ストレスも不安もない。
自分のやりたいようにやれば、
みんなが喜んでくれる。
こんなにワクワクする人生はありません。
なぜ、MIXができるようになったのか?
それは、
高価なプラグインを買ったからでもなく、
闇雲に努力したからでもなく、
単純に
「効率の良いやり方を知ったから」
でした。
一体どういうことか?
詳しくは、僕が「知識だけで」自由にMIXができるようになるまでの過程を、下の記事で公開しています。
(MIXに関する無料メルマガもこちら↓)
【DTM】4時間で終わる「常識を破壊するミキシング(MIX)のやり方」を、8年かけて見つけた話
2度とイライラしない「魔法の手順」を編み出した話。
9割の人が陥りがちな「やってはいけない3パターン」。
【そりゃできないわ…】どうやってもうまくいかない時に、1発解決する「ボタン」とは?
知っていれば「ボタンを一発押すように」解決するのに。の話
意外と想像つかないと思ったので。
【コンプレッサーは10秒でできる!】みんなよくわかってない「スレッショルド」の本当に正しい理解とは
短い動画で「胸がスッとする」この世で一番わかりやすいコンプレッサーの説明。
日頃使っている教材や、お気に入りのチャンネルを紹介します。
音楽で収益を上げてみたい人向け。
ボーカルにオートメーションを「手書き」するのが完全に無駄な3つの理由
まだこれをやってる人がたくさんいてびっくりします。
解決策は、みんな持ってる「まさかのアレ」でチェックすること。
僕もこう思っていた時期があったのですが、めちゃくちゃ大切なことです。
好きなことでお金を得るために、やるべき「たった1つのこと」とは?
10年以上かけて、ようやく好きなことで生きられるようになった僕が見つけた、「これをやっていないと話にならないたった1つのこと」をこっそり話します。
「音程」「声枯れ」「声質」全部直るから、ひとまず絶望しろ、という話。
全インサートがたった1つに!Studio Oneの超絶プラグイン「Channel Strip」のバグと対処法
全トラックこれでまかなえる、Studio One付属の「Channel Strip」。そのバグと解決法です。Studio Oneユーザーは必見中の必見。
MIXで600万円と8年を失った僕が伝えたい「9割の人がハマるドツボのパターン」とは?
MIXの「ドツボパターン」を全部やらかした僕だから言える「知らないとヤバい」実体験を、ありのままに書きました。どうか僕と同じ失敗をしないで下さい。