ボーカルにオートメーションを「手書き」するのが完全に無駄な3つの理由

タイトル画像

ボーカルの「手書きオートメーション」は必要なのか?

MIXを教えた方から、

「ボーカルで、コンプの代わりに手書きでボリュームオートメーションを書くというのをよそで教わったんですが、あれはどうなんですか?正直すげえ苦痛だったので、もう2度とやりたくないんですが、仕方ないのですか…?」

という質問をもらいました。
あちこちで見かけませんか?こう言うのです↓

ボーカルに細かなボリュームオートメーションが手書きで指定されている写真

僕は、

完全なるムダでアホなので、やらなくていいです。

と答えました。
彼はすぐ「やっぱそうですよね笑」と納得してくれましたが、これを読んでくれている人は「なんで??」と思う人もいると思うので、詳しく説明します。

ボーカルオートメーションが無駄な理由

結論から言うと、

無駄が多すぎるから

です。

例えば、コンプを使わずに
オートメーションを手で書くメリットは

  1. 強弱をすべて自分で決められる
  2. 子音を目立たせて、聞き取りやすくできる
  3. コンプの「音質変化」を受けない

の3つです。

しかし、僕も一時期やっていたので
よくわかるのですが、実は
これらはデメリットでもあります

どういうことか
1から順番に見ていきましょう↓

手作業すぎる

「1.強弱を全部自分で決められる」

これは、言い換えると

⇒ 全部決めなければならない

ということです。

「これ…ボーカルの歌詞一字一句を
全部自分の耳で判断せなあかんの?
歌詞って、一曲で500文字はあるで…?」

地道すぎます。
普通に地獄です。
何これ。
一体なんのためにコンプレッサーや
トランジェントデザイナーがあるんでしょうか?

機械でやった方が速くていい結果

「2.子音を目立たせて、聞き取りやすくできる」

これは、

⇒ コンプでやることやん

の一言に尽きます。

「アタックタイムを長めにすれば、
子音が強調されて一瞬で終わりやのに…
これを手でやる意味とは…??」

そう、コンプのアタックタイムを正しく使えば
ボーカルの子音を目立たせるのは
一瞬で終わるのです。
もちろん、後から全体を変更したくなった時も、
数値を少し変更すればそれで終わりです。

これが、もし手書きだったら
後で全体を修正する場合
500箇所ずつ書き直さなければなりません。
この苦労の意味とは…

こういう実際のデメリットを踏まえて改めて考えると、こうしたボーカルオートメーションを勧めてくるサイトは

  • アタックの使い方をよく知らない
  • コンプよりも安定したアタック曲線を手で何百箇所も書ける自信がある
  • オートメーション用のプラグインを売りたい

のどれかなんじゃないかと僕は思ってしまいます。

結局、コンプは使う

「3.コンプの「音質変化」を受けない」

これは、実際問題

⇒ 「音質変化」は欲しい場合が多い

のです。

「あれほど『コンプをかけると、アナログ感や暖かみが出てオケに馴染む』と言ってきたくせに…。結局、後でアナログ感が欲しくなって、コンプを通すんよな。じゃあ、なんで最初から通さへんの…?」

そう。
なんじゃかんじゃで、
ほとんどの場合は最終的にコンプは必要になるのです。

なんで最初から使わへんのじゃ…。

MIXをダメにするテクニック

こうやって見てみると、

  • 大変な割にメリットは微妙
  • トータルで見ると、手間や安定性の面でむしろデメリット

という結論に落ち着いたので、
それに膨大な時間をかけて「手作業」をするのは
無駄でしかないと僕は思うのです。
というか、何より苦痛なんですよ。
こういう事をやると。

僕たちが「MIXいやだ!しんどいゲロ吐きそう!!」と思うのは

「作業が辛い」
「やること多すぎる」
「複雑」
「終わらない」

からです。
だから、大切なのは

「作業が楽」
「やることが少ない」
「シンプル」
「必ず終わる」

ことであるはずです。
そうでないと、MIXが完成しません。

MIXが完成しないと、そもそも作った曲や歌った曲、録音の手間といった、今までの全部の苦労が全て無駄になりますからね。

それを、知っていながら、

「500箇所あるオートメーションを手で書きましょう」

と言うのは、
この時点で無茶苦茶だと思うのです。

だから、こういうのを勧めてくる人たちは「俺は、MIXにこれだけ手間をかけたんだから、俺はすごいんだ!!すごいだろ!!!お前らも苦しめ!!!!」という、マゾな達成感を感じたい人たちか、自慢したい人たちだと思っています。あんまり間に受けちゃダメです。

結論

ちなみに、

「じゃあこのオートメーション作業を自動化すればいいじゃない」

ということで、有名どころだとWAVESのVocal Riderとかもありますが、これはとりあえずボーカルの強弱に応じて「ある程度」のオートメーションを書き出すだけで、後は手作業ですからね。(僕も「えっ?そうなの??」てなりました)

あと、あのオートメーションのちっさい点々って
めちゃくちゃいじりにくいし、
すぐ間違って違う点を触ったりするし、
管理にスーパー神経を使います。
息詰まりそうになる。

結局、MIXにおいて

何が本質的で、何が本質的じゃないのか。
何が効率が良くって、何が非効率なのか。

それをよく見極める必要があると思います。

しかし、それもそもそもの知識がないと、

「これは非効率だ」

ということすらもわかりません。

だから、僕は常に「知識を持っておく」ことを最優先にしていますし、そのためには投資しまくってます。本でも教材でも動画でも、とにかく「これは」と思ったものはポンポン買ってます。

だって、それが結局一番早いし、結局プラグインや機材も必要なくなるので安い、ということを8年かけて身をもって知ったからですね。

というか、もし自分がいまだに当時のような無知な状態のままだったら…と思うと、正直かなりゾッとします。


僕は、基本的にインサート1つだけでMIXをしています。それも、DAW付属の「オマケみたいなチャンネルストリップ」だけです。

MIXにかかる時間は最短4時間くらい、
オーディオIFは使わないこともあるし、
最悪iPhoneのイヤホンだけで
MIXすることすらあります。

実際のMIX画面を見てもらえば、様子がわかると思います↓
(1分もありません)

「ほんまかいな」ですよね。
ほんまかいなでしょうが、まずは
こういう世界もあるということを
知っておいて欲しいのです。
(詳しい説明は、このページに書いています)

「いや、お前には才能があったんだろ?」
とも言われます。しかし、
僕は「これは誰でもできる」と確信しています
(実際に、僕が教えた人もできるようになりました。さっきのページに、教えた人たちの音源も載せています)

むしろ、僕は才能があったわけでも
初めからうまくいったわけでもなく、
MIXに関しては
誰よりも苦しんで、誰よりも失敗した
自信があります。

作曲に憧れた15歳、
就職してしまった20代、
音楽で生きる決意をして
仕事を辞めた28歳。

そこからは、正直地獄でした。僕は、MIXができなかったせいで、その後8年間を棒に振りました
自分の音が安っぽい。
でも、いくら勉強してもわからない。
なんとかしたくて、機材に合計600万円もつぎ込みました。しかし、それでもMIXはできるようにはなりませんでした

仕事もなく、お金もなく、
毎日家にこもって作業をし、
不安でおかしくなりそうでした。
思い出すだけでもしんどいです。

でも、そんな僕でも、
今では驚異的な速度で
MIXができるようになりました。
そして、とうとう15歳の時の夢が
現実になりました。

好きな音楽が仕事になる。
毎日、ストレスも不安もない。
自分のやりたいようにやれば、
みんなが喜んでくれる。
こんなにワクワクする人生はありません

なぜ、MIXができるようになったのか?
それは、
高価なプラグインを買ったからでもなく、
闇雲に努力したからでもなく、
単純に
効率の良いやり方を知ったから
でした。

一体どういうことか?
詳しくは、僕が「知識だけで」自由にMIXができるようになるまでの過程を、下の記事で公開しています。
(MIXに関する無料メルマガもこちら↓)

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E.L.V.Nイレヴン

初めまして、E.L.V.Nのユーキです。

15歳から作曲を始めた、元プロ作曲家。写真スタジオチェーンのテーマ曲などをはじめ、世界で55万本売れたセガの「初音ミク Project DIVA」シリーズや、エグジットチューンズのメジャーCDシリーズ等に楽曲を提供。ネット上では、計60万回ほど再生。(トップページでは、主要な作品を聞くことができます)

現在は、4時間でできる「常識を破壊するMIX」を教えるプロのMIX講師として、超大手ゲーム会社の音楽スタッフ陣に公式にMIXを教えるなど、MIXの指導歴は300人ほどに上る。


ユーキ:
作詞、作曲、ベース、ボーカル、Vocaloid調声、動画、Webデザイン

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作曲、ギター、歯ぎしり、尻もち、霧吹き